水辺から離れられないスジアカクマゼミ

 スジアカクマゼミはほかに発生している場所がないので、幼虫期間を調べるには都合がよいセミである。そこで、スジアカクマゼミの卵を採集してきて、一部を飼育、残りを庭の木に吊るしておいた。スジアカクマゼミはソウルや北京などでは街中で多いセミだと言うので、簡単に庭から羽化してくるのではないかと思ったが、、スジアカクマゼミの好む木がシダレヤナギであることが引っかかっていて、ひょとすると柳類が生えるような水辺でなければだめなのではないかという気もした。そして、それは的中してスジアカクマゼミが庭からは羽化してくることはなかった。鎌倉のN氏に送った卵も成虫の羽化は確認できなかったという話を聞いている(一日だけスジアカクマゼミと思われるセミが鳴いていたらしい)。水はけの比較的よくない友人宅にも導入してみた。2012年夏で卵の孵化から満3年になるが、スジアカクマゼミは確認できなかった。これらのことからスジアカクマゼミは水辺から離れることはできないと考えられる。
 飼育は椿とアロエの混合容器で、2007年7月27日に羽化した幼虫期間3年1メスのみ。この幼虫は2005年秋には終齢になっていたが、終齢幼虫は一夏やり過ごすことはスジアカクマゼミでもあてはまり、羽化は2007年になった。それ以外は羽化していない。これは飼育自体に問題があるのか、飼育妨害のせいかよくわからない状態になっている。飼育妨害はここ2年は何とかかわしていたのだが、2012年には、隠しておいたアロエ飼育容器が見つかってしっまい、徹底的につぶされてしまった。オオシマゼミが多く羽化する予定だったが、全滅させられた。この中にスジアカクマゼミが入っている容器もあったはずだが、羽化してこなかった。安心してセミの幼虫の飼育ができる環境を作ることが急務である。



戻る