蝉雑記帳2015

1 ハルゼミとヒメサユリ

 ハルゼミをネット検索していたところ、新潟県三条市高城城址(たかしろじょうし)の動画「ハルゼミとヒメサユリ」が出てきたので、5月30日に行ってみた。
 上越新幹線燕三条駅からタクシーで40分ぐらい。平日は燕三条駅から高城城址近くを通るバスがあるようだが、土日は東三条からしかでていない。
高城城址はヒメサユリの自生地で、観光客も多い、今年は5月初めの高温で、花の咲くのが早まり、すでにほとんど終りで、まともなのは一株ぐらいしかなかった。 尾根づたいに松の木があり、松枯れもそれなりに見られるが、若い松の木も生えているので、今のところそれほど深刻ではない。ハルゼミの出現もヒメサユリと同じで、散発的に鳴き声が聞こえるだけだった。ハルゼミとヒメサユリの開花時期は同じらしい。もっとも最盛期には人の方が多そうだ。


高城城址周辺
右側の山が高城城址、右側の鉄塔付近からヒメサユリの自生地が
広がっていてハルゼミの声も聞こえる。


ヒメサユリ
ヒメサユリ

2 宮坂峠

 6月13日、駅の裏が山に近く、便利そうに思えた、しなの鉄道戸倉へ行ってみた。山の方へは遠回りするしかなかった。少し登ったところに戸倉宿キティパークがある。桜の名所になっている。周辺は針葉樹が植えられていて、ハルゼミが鳴いている。個体数はそれほど多くない、松枯れもある。桜で鳴いているハルゼミが2個体いた。近くに海抜785メートルの護兵山 があるが、道がわからなかったので、とりあえず宮坂峠まで行ってみることにした。宮坂峠は海抜631メートル、周辺は尾根伝いにアカマツ林続いている。途中エゾハルゼミの声を何度か聞いた気がしたが、確認できなかった。ハルゼミは普通に鳴いている。結局ハルゼミの観察に都合のよい場所は見つけられなかった。問題はこの標高まで松枯れが点々と見られることだ。

戸倉駅
戸倉駅

戸倉宿キティパーク
戸倉宿キティパーク

宮坂峠
宮坂峠からの風景


3 クマゼミ

 8月11日、辻堂海浜公園へ行った。昨年はやや遠回りをしたので、今年は最短距離で、辻堂駅南口からまっすぐ南下、駅の近くはセミの声はしておらず、しばらく行くと、クマゼミの声がちらほら聞こえてくる。辻堂海浜公園付近まで来ると、単独で鳴いているクマゼミが目立ってくる。ミンミンゼミも単独で鳴いている。辻堂海浜公園のクマゼミは昨年よりは多い。個体密度は変わらないが、鳴き声の聞こえる範囲が広がった感じだ。クマゼミの新鮮な個体はすでにほとんど見られない。

クマゼミ
クマゼミの雌

 8月12日、一番近いクマゼミの発生地藤代町庁舎、2012年に来たときは、藤代駅で、電車を降りるとクマゼミの声が聞こえてきたが、今年は藤代町庁舎の近くまで来てようやくクマゼミの声が聞こえてきた。庁舎の敷地内のクマゼミ密度は2012年と同じくらいなので、今年は発生量が少なく周辺に散らばるクマゼミも少なかったのかもしれない。順調に個体数が増えているわけではないようだ。

4 甲府愛宕山

 8月22日、久しぶりに甲府へ、何年ぶりだか忘れた。甲府駅やその周辺は再開発で、ずいぶん立派になっていた。甲府駅からそう遠くない愛宕山山麓などで、ミンミンゼミの写真を撮ろうしたのだが、時期と場所の問題か、うまくいかなかった。木が大きくなっていたり、松林が雑木林に変わったりして環境が変わり、アブラゼミ、チッチゼミ(まだ、聞こえる)はやや減少、ミンミンゼミは場所によって減少、増えたところもある。ツクツクボウシは増加、以前は聞かなかったクマゼミの声を聞いた。

甲府愛宕山からの風景
愛宕山から甲府市内を望む

5 自宅付近のセミ

 那須高原で、エゾゼミ1雄、1雌採集できたので、裏庭のイヌザクラで飼育してみた。脚立の高さが足りなくて、枝までとりこめなかったので、足を痛めてしまい1週間ともたなかった。雄は午前9時半ころから鳴くことが多く、主に午前中鳴いていた。曇りの日は午後1時ころ鳴いていることもあった。エゾゼミの声は近くで聞くと、大きく聞こえるが、少し離れるとアブラゼミの合唱にかき消される傾向があり、家の中にいるとエゾゼミ声を確認しずらかった。

成虫の飼育装置
イヌザクラの飼育装置

 セミの初聞きはニイニイゼミが7月11日安房小湊、7月12日自宅の庭、ヒグラシは7月16日自宅付近、アブラゼミは7月11日安房小湊、7月16日自宅の庭、ミンミンゼミは7月25日自宅の庭、人為的と思われるクマゼミは7月29日、8月24日まで確認。ツクツクボウシは7月25日つくば市高崎自然の森、8月4日自宅の庭、終聞きはニイニイゼミとヒグラシが9月6日つくば市高崎自然の森、アブラゼミは9月26日牛久市、ミンミンゼミは9月4日自宅の庭、ツクツクボウシは9月27日自宅の庭。
 自宅の庭で見つかった、セミの脱皮殻はアブラゼミ12個(7雄、5雌)、ミンミンゼミ4個(2雄、2雌)、ツクツクボウシ1個(1雄)。  全体に夏が早く来た関係で、セミの初聞きも早まった。立ち上がりも早く、自宅の庭のミンミンゼミも7月末には3〜4個体鳴くようになった。最盛期には10個体程度鳴いていた。立ち上がりが早かった分終わるのも早く、8月下旬には少なくなってしまった。ツクツクボウシは少なく、最盛期でも2〜3個体、いつもの年の半分程度しか鳴いていなかった。幼虫期間1年のものが少なかった可能性がある。
 怠けてつくば市高崎自然の森へあまり行かなかったこともあり、10月にセミの声を聞くことはなかった。しかし、南房総市白浜のクロイワツクツクは平年並みのようだった。



表1 アロエから羽化したセミ 2015年

セミの種類 羽化日 羽化数 幼虫期間
ミンミンゼミ 7月19日 1雄   4年
ツクツクボウシ 8月18日
9月 4日
  1雌
  1雌
2年
2年
オオシマゼミ 8月23日
9月10日
9月15日
9月18日
9月23日
1雄  
1雄  
1雄  
1雄  
1雄  
2年
2年
2年
2年
2年


 アロエから羽化したセミは表のとおり。2006年のミンミンゼミ対馬×本土以来9年ぶりにミンミンゼミが羽化してきた。妨害犯によって、しばしばリセットをかけられていたからだ。監視カメラの数を増やしたので、今年は妨害はされていないと思うが、ツクツクボウシの幼虫期間1年のものが羽化していない。これは、秋が早くやってきたため、幼虫期間1年のものが2年になってしまった可能性がある。オオシマゼミも全部雄しか羽化してこなかった。9月下旬には成虫を飼育していたミズキが不調になり全滅してしまった。

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