5月18日、弥彦山に行こうとして、燕三条で弥彦線のホームを見つけるのに手間取り、乗りはぐり、次の電車まで1時間以上もあるので、タクシーで向かうことにした。ついでに弥彦山の西側の寺泊野積海岸を走ってもらった。比較的健全でよさそうな黒松林があったが、ハルゼミの声は聞こえなかった。
5月25日、再び弥彦を訪ねた。弥彦駅を出ると隣接する弥彦公園からハルゼミの声が聞こえてきた。弥彦公園は赤松の大木が所々にあり、管理が行き届いているようで、松枯れも少ない。弥彦公園から弥彦スカイラインの入り口付近にかけて、普通にハルゼミの声を聞くことができた。特に弥彦スカイライン入り口付近が多い。ここ数年新潟県内を歩いてきたが、比較的健全な松林があり、もっともハルゼミが多かった。寺泊野積にも行ってみたが、単独で鳴いているのを聞いただけ、比較的小ぶりな松が多い山の西側はハルゼミが少なく、大きな松ばかりの山の東側でハルゼミが多いようだ。冬の季節風がまともにぶつかる山の西側はハルゼミにとって厳しい環境なのかもしれない。
6月8日、早朝の石垣行き直行便に乗るため、前日は羽田空港への送迎バスが出る羽田付近のホテルに泊っていた。石垣空港からバスターミナルまでは以前は200円だったバスは石垣新空港からは520円になり、40分もかかるようになってしまった。とりあえず、新栄公園へツマグロゼミを見に行ったが、かすかに声が聞こえただけ、年のせいで聞こえなくなったかと不安になった。ホテルに荷物をあずけ、タクシーでおもと岳。松林のある辺りをうろついた。ヤエヤマニイニイが多い。ここ数年6月下旬ばかり来ていて、ヤエヤマニイニイはあまり鳴いていなかったが、今頃が最盛期であることにようやく気づいた。数が多くても低いところにとまるものはほとんどなく、木一本につき1個体が原則のようで、ニイニイゼミのように1本の木に集まることはないようだ。ツマグロゼミも鳴いている。一応まだ聞こえる。時間とともにイワサキヒメハルゼミの合唱が山の上から下へ少しづつ広がっていくのがわかる。イワサキヒメハルゼミはヒメハルゼミとは異なり、いっせいに合唱をするのではなく、少しづつ鳴いている数が増えてゆく。夕方米原のヤエヤマヤシ群落で、イシガキニイニイの声でも録音しようと思ったが、鳴き声は確認できなかった。聞こえるのはツマグロゼミとコオロギの声。売店の人もまだ鳴いていないと言っていた。ヤエヤマヤシ群落を離れるとヤエヤマヤシ群落の上の方からかすかにニイニイゼミ類の声が聞こえたが、ヤエヤマニイニイか?さらに山の上のほうからはイワサキヒメハルゼミの雑音のような合唱が聞こえている。その後、米原キャン場あたりまで歩いてみたが、聞こえるのはツマグロゼミ、海岸近くで、イワサキクサゼミとクマゼミの悲鳴。午後6時過ぎに再び新栄公園によって見ると東側の一部でツマグロゼミが合唱をしていた。子供らがツマグロゼミを追い回していたので、すぐに沈黙してしまった。翌日はまだ暗い5時半ころ新栄公園に来てみた。東側の一角を中心に意外と多くのツマグロゼミが鳴いている。低木で鳴いているのもいたが、暗すぎてどこにいるのかわからない。明るくなるにしたがって鳴いている数が減ってゆき、クマゼミが前奏を始めた6時半前にはほとんど鳴き止んでいた。一方クマゼミはいつまでたっても前奏音を続けるばかりだった。
おもとトンネルの入り口付近でも、ヤエヤマニイニイの声を多く聞いていたので、この日はおもとトンネル入り口付近で、セミの観察をした。途中クマゼミの声を少し聞いた。おもと岳よりも小ぶりな木が多いがヤエヤマニイニイは相変わらず木の上の方で鳴いている個体が多い、たまに低いところで鳴いているのもいるが、人の気配には敏感ですぐ鳴き止んでしまう。このほかツマグロゼミが普通に鳴いていた。結局ヤエヤマニイニイの動画を少し撮っただけで終わってしまい、相変わらずのていたらくである。最後にもう一度米原のヤエヤマヤシ群落へよってみた。売店の店員は昨日のおばさんと違って、今日は青年だったので、また、イシガキニイニイのことを聞いてみた。イシガキニイニイはまだ鳴いていないそうで、以前台風17号の直撃を受けた翌年、イシガキニイニイが鳴かず、最近でも3年ぐらい前にもイシガキニイニイが鳴かない年があったので、今年もその年回りではないかと言っていた。
7月14日、昨年、安房小湊の周辺にヒメハルゼミがいたので、手前の勝浦にもヒメハルゼミがいるのではないかと思い、駅からそれほど遠くない丘陵を歩いてみたが、午前中から合唱するほどヒメハルゼミはいないようだ。早くもニイニイゼミと同じくらいツクツクボウシが散発的に鳴いていた。その後安房小湊でヒメハルゼミを観察した。早くも産卵中の個体がいた。安房小湊周辺はヒメハルゼミがいてもおかしくないような環境はいくらでもあるが、比較的大きな
大風沢川周辺の常緑広葉樹中心の斜面林にしかいないようだ。
8月10日、茅ヶ崎駅北口を出ると、クマゼミの騒音がかすかに聞こえてくる。茅ヶ崎市中央公園はどこか異常なクマゼミの大合唱。合唱集団には中心があり、中心では騒音のようなクマゼミの声が降ってくる。集団の中心をはずれると個体数が減り、まばらになってくる。普通クマゼミが多い開けた場所の周辺ではあまり多くなく、ケヤキの大木が多く植えられている林の中で多い。低い所で鳴くクマゼミはほとんど見られなかった。ほかのセミはアブラゼミとミンミンゼミが見られた。
9月に2度クマゼミの卵を採集に公園へ行った。落ちているケヤキの枯れ枝には面白いほど産卵痕を見つけることができた。いかに茅ヶ崎市中央公園のクマゼミが多いかがわかる。なお、昨年、茅ヶ崎市中央公園で採集したクマゼミの卵は庭の木に吊るしておいたところ、7月下旬には孵化していた。
8月14日、16日、石垣島のバンナ岳でヤエヤマクマゼミのビデオ撮影に挑むが、いまひとつ近づけなかった。
15日は小浜島でクマゼミが鳴いていないか見に行った。小浜島では西表島と同じように、8月にクマゼミが鳴くようだが、個体数は少なく、数個体の集団が点在している状態。イワサキゼミも鳴いていた。撮影に都合よい場所を探しきれず、クマゼミが鳴き止んでしまい、朝から降っていた弱い雨も本降りになったので引き上げた。
ニイニイゼミの初聞きは、つくば市高崎自然の森で7月7日複数の声、自宅付近は7月13日、終聞きは8月23日、牛久市薬師寺と千葉県南房総市白浜で9月14日。ヒグラシの初聞きが、自宅付近で7月10日、終聞きが9月4日、アブラゼミの初聞きはつくば市で7月13日、自宅付近は7月14日、終聞きは9月29日、つくば市で10月12日
。ミンミンゼミは自宅の庭で7月15日に1雄を捕まえているが、初聞きは7月26日、終聞きは9月5日。クマゼミは牛久の勤め先で7月18日、一日だけで、まぐれで発生したものがあったのかもしれない。人為的と思われる複数の鳴き声が聞こえだしたのは7月30日、9月3日まで聞こえていた。ツクツクボウシの初聞きは、千葉県勝浦市や安房小湊で7月14日、つくば市高崎で8月3日、自宅の庭は8月11日、終聞きが9月29日、つくば市高崎自然の森で10月12日。
自宅の庭で見つかったセミの脱皮殻はアブラゼミが12個(6雄、6雌)、ミンミンゼミが8個(3雄、5雌)でツクツクボウシは見つからなかったが、最高で3〜4個体程度鳴いてた。ミンミンゼミも最高で7〜8個体程度鳴いていた。アブラゼミを除くと低調だった。
セミの種類 | 羽化日 | 羽化数 | 幼虫期間 |
ツクツクボウシ | 8月20日 8月21日 8月25日 8月27日 8月29日 9月 1日 9月 7日 9月 9日 9月10日 9月14日 9月25日 9月26日 |
1雌 1雄 1雌 1雄 1雌 1雌 1雌 1雌 1雌 1雌 1雌 1雄 |
2年 1年 2年 1年 1年 1年 1年 1年 1年 1年 1年 1年 |
アロエから羽化したセミは表のとおりで、昨年の飼育妨害の後遺症で少ない。なお、9月25日に羽化した雌が交尾をしたのは10月12日だった。このほか7月13日にユッカからニイニイゼミ1雄が羽化しているが幼虫期間は不明。飼育装置を置いてある場所に面した生垣がなくなり、隣から丸見えになってしまい、防犯上はよくなった。それでも妨害犯はやってきて、仕掛けておいた監視カメラには気づかれてしまい、すんでのところで、写らなかった。