5月4日は南伊豆弓ヶ浜、5月15日は伊豆稲取へ行ってみたが、晴天にもかかわらずハルゼミの声は聞けなかった。 6月5日、以前、金沢から戻るとき、直江津を過ぎたあたりで、黒松が目立つところがあったので、ハルゼミをさがすため、越後湯沢から北越急行経由で犀潟(さいがた)まで行ってみた。十日町を過ぎるとトンネルが多くなる。天気は曇り、時々薄日がさす程度で、ぱっとしない。犀潟駅付近は黒松が多い。松枯れもそれなりにあり、大きな切り株も見られ、ニセアカシアが侵入している。管理されている松林では若い松が植えられていて、比較的健全だ。ハルゼミは単独で鳴いている声を数回聞いただけ。もともと少ないのか、もう終わりなのかはわからない。海岸の近くでは伊良湖岬を思わせる比較的低い松林も見られたが、ハルゼミの声は無く、薬剤散布の予告があった。
![]() 犀潟駅 |
![]() 海岸付近の黒松林 |
談話会で石垣島の山原橋周辺は海に近いにもかかわらず、ヤエヤマクマゼミが多いと言う話があったので、7月31日〜8月2日かけて石垣島へ行った。天気はおおむね晴天、宿泊場所は川平の吉原。とりあえず、山原橋を探すことにした。米原方向に歩いていけばたどり着くだろうと思い、だらだらと歩いて行く、イワサキクサゼミがまだ複数鳴いている。クマゼミも午後だというのに小合唱している。意外にも山原は隣の集落だ。まもなく橋にたどり着いた。橋の脇に細い旧道と思われる砂利道があり、そこが採集ポイントと思われた。ヤエヤマニイニイの声がしている。
![]() 山原橋から見た風景 |
![]() ヤエヤマクマゼミの雌 |
翌日は朝8時過ぎ頃から山原橋でヤエヤマクマゼミのビデオ撮影を試みる。初めのうちはクマゼミの声しか聞こえなかったが、しばらくするとヤエヤマクマゼミの声が聞こえてきた。しかし、木が高く撮影にはならない。クマゼミもシーズンの終わりが近いらしく、木の高いところでしか鳴かない。 やがて、甲虫屋さんが現れて、ヤエヤマクマゼミの雌を見つけてもらったり、いろいろと話を聞くことができた。話によると今年は例年と比べて昆虫の発生が2週間ばかり遅れていて、ヤエヤマクマゼミはいつもならほとんど終わりらしい。例年なら6月の下旬から発生が始まり、7月第一週がピークで、林道嵩田線や野底岳も同じようだと言う。ヤエヤマクマゼミは次第に標高の高いところへ発生が移って行き、8月になると山の上の方以外はいなくなるらしい。
午後は昼飯と髭剃りを確保しながら、タクシーでおもと岳まで向かった。昼飯はタクシー運転手が食べ損ねた弁当をもらい、髭剃りは後回しになった。おもと岳は昨年秋の大雨で、登山口へ向かう分岐点からすでに管理者以外通行禁止になっていた。歩きなら途中まで行けるというので、行くことにした。タクシーを降りたとき、イワサキゼミの声を少し聞いた。ヤエヤマニイニイが比較的多く鳴いているが、相変わらず木の上の方である。しばらく行くと駐車スペースのある登山口に出た。登山口は管理者以外立ち入り禁止になっていて、土砂崩れの写真が二枚貼ってあった。奥の方からはセミの声がしていなかったので、とりあえず、様子見。 登山口付近はヤエヤマニイニイとツマグロゼミの声がしていた。午後5時を過ぎてもタイワンヒグラシが鳴きださないので、戻り始めるとタイワンヒグラシの声が聞こえてきた。大木で鳴くタイワンヒグラシを確認したがかなり木の上の方である。
![]() おもと岳登山口 |
![]() タイワンヒグラシ |
8月2日、昨日、吉原集落の近くの海岸沿いの林でもヤエヤマクマゼミが鳴いていたので、見に行ったがクマゼミしか鳴いていなかった。それでも道路沿いの林で単独で鳴くヤエヤマクマゼミがいた。宿のオーナーが川平公園近くまで車で行くというので、送ってもらった。途中クマゼミに混じってヤエヤマクマゼミが点々と鳴いている。着いてから川平公園はセミがあまりいないのを思い出し、昨日のタクシーに来てもらい甲虫屋さんが言っていた林道嵩田線に行くことにした。タクシーを待っていると近くの林でヤエヤマクマゼミが単独で鳴き移りをしていた。川平公園のトイレは手を洗う水が出ない。
林道嵩田線終点付近はヤエヤマクマゼミが多かった。しかし、木は高く、初めは道路沿いの木で鳴いていたが、そのうち林の中へ引っ込んでしまった。そして、12時を過ぎると静かになった。
今まで、ヤエヤマクマゼミは8月のセミで、山にばかりいるものだと思っていたが、違うようである。
タクシー運転手が今日は弁当を持っていないと言うので、しかたなく空港で八重山そばを食べ、帰路に着いた。
ニイニイゼミの初聞きはつくば市高崎で7月10日、自宅付近が7月12日、ヒグラシが7月19日、アブラゼミが7月25日、ミンミンゼミが8月3日、クマゼミが勤め先付近で8月4日、ツクツクボウシがつくば市高崎自然の森で8月13日、自宅の庭では8月17日、終聞きはニイニイゼミが自宅の庭で8月15日、つくば市高崎自然の森で9月11日、ヒグラシは自宅の庭で8月17日、つくば市高崎自然の森で9月25日、アブラゼミは自宅の庭で9月25日、つくば市で10月16日、ミンミンゼミが自宅の庭で9月15日、つくば市で9月18日、ツクツクボウシが自宅の庭で9月18日、つくば市高崎自然の森で10月23日だった。
自宅の庭で見つかった脱皮殻はアブラゼミ11個(4雄、、7雌)、ミンミンゼミが9個(5雄、4雌)、ツクツクボウシが4個(1雄、3雌)でニイニイゼミは初聞き後2〜3日鳴いては消えるを繰り返していて、8月上旬に3個体鳴いていたのが最高で、ミンミンゼミは8月15日に10個体近く鳴いていたのが最高だった。全体的に出現が遅れる傾向を示し、特にツクツクボウシで遅れが目立った。個体数も低調で集中して発生する傾向があった。
セミの種類 | 羽化日 | 羽化数 | 幼虫期間 |
ツクツクボウシ | 8月18日 8月25日 8月27日 8月31日 9月11日 9月15日 9月17日 9月18日 |
1雄 1雄 1雄 1雄 1雌 1雌 1雄 1雄 |
2年 2年 2年 2年 2年 1年 2年 1年 |
クロイワツクツク | 9月 6日 9月 7日 9月12日 9月13日 9月27日 |
1雄 1雄 1雌 1雌 1雄 |
2年 2年 2年 2年 2年 |
オオシマゼミ | 10月 6日 11月 5日 |
1雄 1雌 |
2年 2年 |
アロエから羽化したセミも遅れる傾向があり、オオシマゼミの雌は11月になってしまった。原因は7月下旬から8月はじめの低温ではないかと思われる。ツクツクボウシの幼虫期間1年のものが少ないのは昨年の猛暑でアロエが腐ったためである。8月7日に温室の中でスジアカクマゼミの前日に羽化したと思われる1雌が見つかっているが幼虫期間は不明である。また、9月5日、一日だけ庭で、クロイワツクツクが鳴いていたが、どこから羽化したのかはわからない。
なんとなくパッとしないので、最後は沖縄名護へオオシマゼミでも見ようと10月8日〜10日にかけて出かけた。8日の天気はあいにく曇りで、傘がいらないくらいの弱い雨が降ったり止んだりしていた。嘉手納を過ぎたあたりで、クロイワツクツクとオオシマゼミの声がしてきた。以後名護までの間、例年の今頃と比べると多くのクロイワツクツクの声を聞いた。夏からのセミの発生遅れを引きずっでいるのではないかと危惧した。案の定、名護城(なんぐすく)に着くとオオシマゼミは少なかった。カンヒザクラにはあまり止っておらず、その周辺の木の高いところで鳴いている個体が多く、カンヒザクラに飛んできても意外と敏感で逃げる。最盛期にはまだ間があるようだった。
雨は夜には本降りとなったが、翌9日は明るい曇りで、所々晴れ間のあるまずまずの天気となった。泊っていたホテルの前は川が流れていて、木も植えられているが、クロイワツクツクの好みではないらしく、まばらに鳴いているだけ。一番近い公園は宮里公園。斜面はリュウキュウマツを主体とする雑木林で、丘の上は広場になっていて、雑木林は少ない。
オオシマゼミとクロイワツクツクが半々ぐらい鳴いている。オオシマゼミは木の高いところにいるが、クロイワツクツクは低いところでも鳴いていた。しかし、敏感ですぐいなくなった。宮里公園から海の方へ少し行った所にリュウキュウマツの大木を中心とした小さな公園があり、クロイワツクツクだけがやかましく鳴いていた。さらに行くと21世紀の森公園にたどり着く。公園付近ではクロイワツクツクは普通に鳴いている。木がまばらだとクロイワツクツクもまばらになり、リュウキュウマツが多い場所ではクロイワツクツクもやや多い。公園よりも隣接する港地区の緑地の方がクロイワツクツクが多く、雌も見られた。雌は新鮮な個体がほとんどだったので、今が最盛期と思われ、例年と比べて2週間程度遅れているようだった。午後は名護城でオオシマゼミのビデオ撮影をした。雌は一度見ただけ。午後4時頃また弱い雨が降り出したのでホテルに引き上げた。翌日は雨でも降りそうな低い雲が垂れ込めていて、まだ暗いうちからクロイワツクツクが鳴いていた。宮里公園はオオシマゼミの鳴いている数が少なかった。クロイワツクツク1雄1雌とオオシマゼミの未熟な1雄を採集し、空港行きの急行バスに乗るための屋根つきのバス停に入ったところで、土砂降りの雨が降り出した。バスが名護を離れると雨は上がった。急行バスは沖縄自動車道を通る。バス停はおもに料金所の外にあるため、料金所を出たり入ったりしながら進んで行く。料金所の周辺はオオシマゼミよりクロイワツクツクの声が多く、最後に確認できたのは沖縄南インターチェンジだった。