クマゼミ別系統の証明


1 城ヶ島での木の成長とセミの種類

 城ヶ島も耕作放棄地が目立ってきている。耕作放棄地には雑木が生えてくることがある。雑木の種類は、アカメガシワ、サクラ。カラスザンショウ、ミズキなどで、雑木が高さ3メートルほどに生長してくると、セミがやってきて鳴くようになる。初めにやってくるのは、ニイニイゼミとクマゼミで、しばらくこの2種類が鳴く。雑木が高さ5〜6メートルまで成長するとアブラゼミとミンミンゼミがやってくるようになる。ミンミンゼミはクマゼミに追われるどころか木の成長過程で、侵入してくる。さらに木が高さ7〜8メートル以上に成長するとクマゼミとニイニイゼミが減少しミンミンゼミが目立ってくる。1980年代クマゼミが集まっていたミズキは大木になり、ミンミンゼミが優勢になっている。
 クマゼミは明るく開けた場所で、比較的若い木が多い環境で個体数が増える傾向がある。



2 茅ヶ崎市中央公園のクマゼミ

茅ヶ崎市中央公園

 茅ヶ崎市中央公園は、最近クマゼミが急速に増えているところである。茅ヶ崎野外自然史博物館掲示板によれば、2014年のクマゼミの脱皮殻は5000を超えている。
 茅ヶ崎市中央公園はケヤキの大木が多い環境である。クマゼミの常識からすれば、中央公園では比較的低いツバキなどが植えてある周辺のサクラの木などに多そうだが、実際はあまり多くない、合唱の中心はケヤキの大木が茂る場所であり、そこから離れると、急に個体数が減ってゆくのがわかる。ケヤキの大木が茂る場所ははアブラゼミが多くなる環境である。アブラゼミが多い環境にクマゼミが入り込み急速に個体数が増えているのである。
 茅ヶ崎市中央公園のクマゼミは、城ヶ島などのクマゼミとは異なる系統だと考えられる。生態的には鳴き移りの頻度が低いくらいだ。ほかに違いがないかと思い卵の孵化について調べてみた。7月までは自然状態に置き、7月からは小さなフタつきのカップに枯れ枝ごと入れ、野外の日陰に置き、週に2回水をかけ孵化の始まるのを観察した。7月26日に蕨市市民公園で採集した枝から孵化が始まり、27日に茅ヶ崎市中央公園。28日平和島公園、31日に城ヶ島で採集した枝から孵化した。採集地による違いはほとんどない。ネット上の辻堂海浜公園のクマゼミ資料によるとクマゼミの孵化は2012年の場合、7月25日から始まっているので、茨城県牛久市でもほぼ同じと思われる。1980年代、クマゼミの孵化は8月中旬だったと記憶しているので、地球温暖化の影響で孵化が早まったようだ。なお、自然状態では8月8日にまとまった雨が降ったときに、いっせいに孵化していた。

クマゼミ
枝に隠れようにとまるクマゼミ、なんとなく違和感がある

 茅ヶ崎市中央公園のクマゼミの幼虫は2013年から飼育している。容器は3個つくったが、ひとつは妨害にあってしまったらしく幼虫はいなかった。2014年10月上旬に残り二つのうちひとつの容器側面に3齢幼虫見えていた。 通常ならこのまま冬を越し、翌年の6月頃4齢になるはずだが、見えていた3齢幼虫は11月になると4齢になったのである。普通、幼虫の脱皮期は6月と9月頃にある。茅ヶ崎市中央公園のクマゼミの幼虫の脱皮期は11月にあるらしい。
 また、1齢幼虫の定着率が高いのが特徴で、これが茅ヶ崎市中央公園で急激に個体数が増加した原因の一つと考えられる。

飼育装置
左が4齢幼虫、右が3齢幼虫


 2015年は6月に幼虫の移動が多くみられ、幼虫は側面からは見えなくなった。9月から10月にかけてアロエが2本枯れたが、今年は遅くまで活動していないようだった。2016年夏に飼育妨害にあい全滅させられてからは飼育できていない。

飼育装置
2015年12月の飼育装置側面

地面の硬さとクマゼミの増加

地面が固くなって、アブラゼミの1齢幼虫が地面に潜り込めなくなって、個体数が減り、クマゼミが増えたという話があったが、そもそも都会の公園の硬い地面が以前は柔らかった証拠はない。今更調べようがないわけで、

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