セミの声の周波数


@ クマゼミがうるさい理由

 セミの鳴き声をフリーソフトのWASPで鳴き声の周波数を調べてみた。クマゼミの場合およそ2kHzから10kHzにかけて一様に大きな音が出ているのがわかる。この範囲は人がよく聞こえる周波数である。だからクマゼミの声はうるさく聞こえる。 アブラゼミ、ミンミンゼミは低い周波数と10kHz以上の高い周波数とに分かれている。低い周波数の部分はクマゼミと重なるが、高い周波数の部分は重ならないので、アブラゼミ、ミンミンゼミがクマゼミといっしょに鳴いていても鳴き声は伝わると思う。周波数の途切れている部分は偶然かニイニイゼミの周波数帯である。

セミの鳴き声の波形

A 奄美、沖縄でクロイワニイニイとニイニイゼミが共存できる理由

 クロイワニイニイの中心周波数は9kHzぐらいで、奄美大島の個体で高くなる傾向がある。 クロイワニイニイとニイニイゼミの波形
 奄美大島のクロイワニイニイはおもに低木にいるもの、大きな木にいるもの、潅木やススキなどにいるものの3タイプがあり、このうちススキにいるものが断続的に聞こえ、周波数が高い。一方ニイニイゼミの中心周波数は約7kHzと低くなっていて周波数のずれによって共存を可能にしている。
 以前、沖縄のクロイワニイニイを飼育中にニイニイゼミのメスが飛来したことがある。これは本土のニイニイゼミの中心周波数と沖縄のクロイワニイニイの中心周波数が近いためにニイニイゼミが識別できなかったためである。

クロイワニイニイとニイニイゼミの波形

B ツクツクボウシがオオシマゼミを識別できない理由

 奄美大島のオオシマゼミを飼育していたときもツクツクボウシのメスが飛来している。人が聞いてオオシマゼミとツクツクボウシの声を間違えることはないと思うが、ツクツクボウシはオオシマゼミを識別できないらしい、これは鳴き声の周波数の高い部分に似たところがあるからかもしれない。ツクツクボウシは鳴き声の周波数の高い部分を重視しているように思われる。

ツクツクボウシとオオシマゼミ

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